この飲み代って経費で落とせるのかな?

「この飲み代って経費で落とせるのかな?」

こんなことを考えたことがある経営者の方は、多いのではないでしょうか。これから会社を大きくしていこうとする経営者にとって、数多くの人と出会って交友関係を広げることは必須であると思います。

事業を発展させる上で、関係者と親交を深めるための接待等の飲み代は、いわゆる接待交際費として経費にすることができます。しかし、一方で経理担当者や税理士から「これは経費にできません」などと言われた経験のある方も多いと思います。

また、会議費として飲み食いしたにも拘わらず交際費として判断されてしまうこともあります。

これらの例はそれぞれ観点が異なりますが、交際費処理の判断について悩む場面の例だと思います。いったいどのような飲み代が交際費になるのか、経理担当者を困らせる論点ではないでしょうか。以下、主に法人の場合を例にまとめました。

交際費等の意義

交際費等の意義については、租税特別措置法第61条の4第3項及び第68条の66第3項において次のような定義をしています。

「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」

とされています。

定義すると、上の文章のようになるのですが、実務においてはこれだけでは判断に迷うところです。そこで交際費等に該当するかどうかついては、一定の判定要件に基づき判断します。

交際費等の要件

法人の支出する費用が、交際費等に該当するかどうかの判定については諸説ありますが、次のような判定要件によるものがあります。

  1. 「支出の相手方」が事業に関係のある者等であること
  2. 「支出の目的」が事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行をはかることにあること
  3. 「支出の基因となる行為の形態」が、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類するものであること

つまり、取引先との飲み代を接待交際費と判断するには、上の要件を満たす必要がありそうです。

交際費等に該当するものの具体例

では、上で述べたような交際費等の定義や要件を通じて、企業において交際費等に該当するものを例示すると、次のようなものは原則として交際費等に該当するものとされています。

  1. 会社の周年記念等における宴会費
  2. 便宜を与えうる地位にある人等に対して支出するいわゆる運動費等の費用
  3. 社外の者の慶弔、禍福に際し支出する金品等の費用
  4. 事業に関係のある者等を旅行、観劇等に招待する費用
  5. 総会屋対策費用
  6. 高層ビル等の建設に当たり、周辺住民の同意を得るために、当該住民等を旅行、観劇等に招待し、又はこれらの者に酒食を提供した場合に要した費用
  7. スーパーを営む法人が周辺の商店等の同意を得るために支出する運動費等の費用
  8. 得意先等の従業員に対し取引の謝礼等として支出する金品の費用
  9. その他得意先、仕入先等社外の者に対する接待、供応に要した費用

ここで述べたものは、すべて例示であって、それぞれの事案によって判断する必要がありますが、その判断にあたって一定の指針になりそうです。

交際費等に該当しないものとされる費用

反対に、交際費等と判断されないのは、どのような場合でしょうか。

  1. 専ら慰安のために行われる運動会等の費用。これらは福利厚生費と考えられます。
  2. カレンダー等の物品を贈与するために通常要する費用。これらは広告宣伝の要素が含んでいるため、広告宣伝費と考えられます。
  3. 会議に関連して茶菓、弁当等の飲食物を供与するために通常要する費用。これらは会議費として考えられます。
  4. 新聞、雑誌等の取材のために通常要する費用。これらは取材費と考えられます。

これらの支出については、会社の費用ですが、交際費なのか、それ以外の費用なのか、というところが論点となります。

このように交際費の処理については多分に判断を含むことが多く、実務上も問題になることが多い領域です。後のトラブルを避けるためにも、その経理処理判断は慎重に行い、また根拠資料を残すなどしっかりと対策を講じたいところです。

Yoshiya Okada

Column
Profile

商社勤務を経て、大手監査法人に入社。製造業、建設業、製薬業、教育産業、娯楽業など、幅広い業界の会計・監査に従事。その後、事業会社にて決算業務、IFRS対応、税務対応、資金繰り、銀行対応などの実務を経験。決算書を作成する側と決算書をチェックする側の視点の両方を併せ持つ会計事務所として、依頼者の立場を理解した業務提供をモットーに活動中。