落語でできる人財育成 その3

落語でできる人財育成 その3

こんにちは。枝閣亭主徳です。
落語は素人落語ですが、人財育成に落語の要素を生かすことができることを検証しようとして3回目になります。
前回は芸能としての落語の特性と全力で伝えるということについて述べてみました。
人財育成の観点としては「伝える力」について検証したわけですが、今回は「つなぐ力」について考えてみたいと思います。
「つなぐ力」とは人と人をつなぐという意味合いです。

落語は社会学

落語の素晴らしい点の一つは「昔の話なのに今、演じても面白い」という点です。
落語の登場人物は、その時代の一般人代表で構成されることがほとんどです。
古典落語だと、武士、丁稚、大店の旦那、若旦那、番頭、御寮人、大家、店子、大工や魚屋、遊び人、芸子、子供、ご隠居さんなど。 こういう人たちのセリフによりストーリーは展開していき、番頭と丁稚、大家と店子、ご隠居と若者というような組み合わせで時代背景も読み取れます。
セリフから、社会や風俗を理解しながら登場人物の本音に共感を得る。その本音が笑いにつながる。
昔の話になの今も笑いが起こるということは、時代が変わっても人と人との関係性や各々の立場での本音に大差は無いということです。
このように色んな社会での人と人とのつながりを学ぶことができるのが落語です。

人間心理の研究になる

落語でその登場人物を演じるには、その人物の感情を理解して演じ分けなければなりません。喜怒哀楽がしっかり分けられて、声の出し方や表情が付いてこそ面白みがはっきりしてきます。
番頭に怒られた丁稚はどんな心境か、よく家にやってくる暇な若者をご隠居はどう思っているのか、家賃を滞納している店子は大家に会えばどんな顔をするのか。
落語にはストーリーを組み立てるロジカルな面も必要ですが、感情に着目してそれを表現する、そういうコミュニケーション能力も必要です。
それを研究することは人間の相互理解につながると考えます。

聞き切る姿勢

落語は全てを聞き切らねばオチがわかりません。
最後まで聞き切る集中力が必要であり、ゆえに小さな子供には落語を聞かせるのは無理があると言われています。
人の話を聞き切る大人でないといけない。自分の話ばかりでなく、人の話も十分に黙って聞く。職場や家庭でも重要なことであります。
話を聞き切るということが人と人をつなぐコミュニケーションの基本になると考えます。
落語を聞き切る、という姿勢は人と人をつなぐ基本姿勢と近いものがあるのではないでしょうか。
伝える力は必要ですが、伝えるという発信だけでなく受信側も受信する力が無いと正しく伝わらず、また他につなぐこともできません。
発信も受信もできて「つなぐ力」が要るということで、仕事をする上でも不可欠な力です。

Tosimitu Nagusa

Column
Profile

1964年生まれ(大阪府出身):産業機械メーカーにて営業職として1,000以上の現場に携わる。15年間の勤務中に駐在所所長、支店長代行を経験。2003年に独立し、社会保険労務士開業登録。以降、製造業や商社、サービス業など幅広い分野を関与先とし、社会保険労務士業・人事コンサルタント業(労務問題、就業規則策定、人事評価制度の見直し、企業内研修等)で活動中。企業人としての経験から、労務管理による組織の信頼関係の構築、目標を達成できる組織づくりへの支援を目指す。講演/執筆等多数。