重要文化財を蘇らせる。神社に眠る錆びた奉納刀の研磨プロジェクト。

このプロジェクトは日本美術刀剣保存協会岡山県支部長の小池哲氏によるプロジェクト。 神社仏閣に奉納された錆びた奉納刀を研磨し、文化財を後世に伝えることが目的だ。 奉納刀の研磨をするにあたって奉納刀研磨プロジェクトを立ち上げ、実行委員会を発足し活動を行っている。

神社仏閣に眠る錆びた状態の刀剣の現状

神社仏閣に奉納されている刀剣の多くは錆びた状態のまま保管されているのが現状だ。 そのため、何もせず放置していると刀剣は朽ち果て、価値のないものになってしまう可能性が高い。 それを防ぐためには、奉納された刀剣を再度研磨し、適切な形で保管・保存していく必要がある。 プロジェクトの第一弾として岡山県真庭市重要文化財に指定されている高岡神社の宝刀「国重」を研磨し、研ぎあがった刀は岡山県立博物館に預け手入れ保管していくことが決まっている。

刀剣研師とスケジュール

刀剣研師は本阿弥流重要無形文化財保持者(人間国宝)の小野光敬に師事し、10年間の修業を積んだ黒田守寿氏が担当する。

<刀剣研師 黒田守寿氏の経歴>

  • 昭和51年 福岡にて独立
  • 平成11年 大宰府天満宮神前御用刀剣研師に認定
  • 平成12年 日本美術刀剣保存協会・研磨の部、無鑑査に認定

<スケジュール>

  • 6月:桐箱の制作と拵のかんたんな修理
  • 7月初旬:桐箱が完成、奉納刀の研磨作業に入る
  • 7月中旬:拵の修理が終了
  • 9月初旬:研磨終了し、押形の制作、押形を印刷に回し、原本は掛け軸に表装する
  • 11月末頃までに:備前長船刀剣博物館においてよみがえった奉納刀鑑賞会を開催
  • 11月末日まで:支援者の皆様にリターンを発送
  • 11月末頃:備前長船刀剣博物館において奉納刀を展示

高岡神社に奉納された375年前に作られた「国重」の謎

岡山県真庭市の重要文化財に指定されている高岡神社の宝刀「国重」は、今から375年前につくられた刃長三尺五寸(106,1cm)、全長四尺五寸四分(137,8cm)の非常に長い刀で奉納するためにつくられたものということがわかっている。
しかし、裏銘にある注文主の名前が削られており、現在では読めなくなっており、注文主が不明となっている。
表銘には「備中国水田住大月八良左衛門尉源國重」、裏銘には「寛永十八年五月吉日 備州水田住次左衛門尉國重為□氏作之」と刀剣の表と裏に刻まれている。 初代大月八良左衛門の刀は、寛永七年とこの寛永十八年の二振しか現在確認されていない。
八郎左衛門の名は、代々国重家の嫡子が受け継いでいるが、この初代の作者が大月与五郎と同人なのか弟の市蔵(初代山城大掾源国重)なのか、あるいはまったくの別人なのかということがわかっていない。
「国重」の研磨を通してこの謎にを解明するということもプロジェクトの目的の一つとなっている。

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